【モダン翻訳記事】与えられた環境に対する「アドグレイス」の最適化【Beating Companions with Ad Nauseam】

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By Ryan Donkin -05.27.2020 原文はこちら

みなさん、こんにちは。

私の名前はRyan Donkin(MTGO上ではGR_DONKIN。今日は、Lotus Box League Modern eventで使用した「アドグレイス」について、そこからお伝えできることのすべてをここに記していきたいと思います。

その日にプレイしたリストは、こちら:

ダウンロード:https://www.mtggoldfish.com/deck/3031488

この大会に参加するに際し、仮想敵とすべき相手が「ヨーリオン・スケープシフト」と「赤黒果敢」であることは明白でした。まさに「アドグレイス」を使うのにうってつけのメタゲーム、とても素晴らしい傾向ですね。「ヨーリオン・スケープシフト」が使用するカウンター呪文は(マナコストが)重いものばかりで、これらは《否定の契約》によって容易に突破することが可能。そして、「赤黒果敢」が有する(手札破壊)戦略には《神聖の力戦》が劇的に機能します。

「ヨーリオン・スケープシフト」は、キャントリップ能力を持ったパーマネントとランプスペルを中心に構成されており、これに加えて対戦相手のテンポを削ぐことに優れたカウンター呪文を有することで、フィニッシュ手段の《風景の変容》を唱えるのに十分な時間を確保します。この戦略に「アドグレイス」側が付け込むポイントは、《差し戻し》と《謎めいた命令》をプレイするのにそれぞれ2or4マナが必要とされること。そう、《否定の契約》が0マナであるというマナアドバンテージの差により、こちら側が優位にスタックを制することが出来るのです。

「赤黒果敢」は「バーン」のような側面を持つ、攻撃力が特化された強化版「ジャンド」とも言えるデッキです。《ケラル砦の修道院長》の存在により、デッキが強みとするアグレッシブな側面を維持しながら、アドバンテージ面での強化も果たしました。また、《塵へのしがみつき》はシナジー面での強化に加え、状況に合わせてフレキシブルな対応ができる柔軟性を与えています。「赤黒果敢」は「アドグレイス」に対して効果的な手札破壊戦略を有していますが、Game2からは《神聖な力戦》をサイドインすることによって優位を築くことが出来ます

この2つのデッキに共通している点は何でしょうか?

なぜ、多くの成功を手にしたのでしょうか?

その答えは、ただ一つ:「相棒です。

《夢の巣のルールス》と《空を放浪するもの、ヨーリオン》は「ゲーム開始時から保証された8枚目の手札」というだけの存在ではなく、ゲーム全体を通して驚くべき程のカードアドバンテージを提供します。

そして、これらの情報から私は次のような考えを導きだしました:4ターン目にゲームが終了してしまえば、カードアドバンテージは大した意味をなさない。

「アドグレイス」は、対戦相手がどれだけカードアドバンテージを生み出そうが大して気に留めません。これら「相棒」によって生み出されるカードアドバンテージは一見無償で提供されているように感じられますが、我々の有する戦略の前にはそれをプレイすることもままなりません。

さて、これら二体を「相棒」とするデッキ全般についての話をしていきましょう。

《夢の巣のルールス》が抱える最大の欠点は、プレイするのに3マナが必要であり、4ターン目を前にゲームに大した影響を与えないということです。これは、「アドグレイス」の描くゲームプランに対して全く意味をなさないことと同義です。私のTwitchコミュニティー内では、「ルールスはモダンの《Time Walk》だ」なんて冗談が飛ぶことがありますが、あながちそれは間違っていないのです。3ターン目にフルタップして、3/2・絆魂のクリーチャーに1ドローがついてくる可能性がありますが、それに対して「アドグレイス」は4ターン目にコンボを完遂し勝利を手にします。

この構図が改善されることは決してありません

《空を放浪するもの、ヨーリオン》にも当然《夢の巣のルールス》と同じ問題がありますが、話はそれだけに止まりません。4ターンで終了する予定のゲームで、5マナのカードがどのような価値を持ちますか? 何ひとつありません!

《空を放浪するもの、ヨーリオン》は4ターン目より後にしかプレイすることは出来ず、それはあまりにも手遅れなタイミングです。更にひどいことに、《空を放浪するもの、ヨーリオン》を「相棒」とするためデッキは80枚以上のカードで構成されており、コンボやシナジー有する強烈な一撃に対する耐性が薄れているのです。

4ターン目の勝利をプレッシャーとして掲げることで、「相棒」は効果的に機能することが出来なくなります。改めて大会を振り返ると、これははっきりとした事実として表れていました。「ヨーリオン・スケープシフト」とマッチアップした5試合すべて、そして「赤黒果敢」とマッチアップした4試合のうち3試合で勝利を手にしたのです。

この大会で学んだもう一つの経験が、デッキリスト公開制であることを考慮したデッキ構築です。今回は、試合前にお互いが対戦相手のリストを確認した状態でゲームに挑むことが出来たのです。

この種の情報はプレーヤー双方に大きなアドバンテージをもたらすものだとは思いますが、はたしてどのように活用するのが最も効果的でしょうか?その答えは、積極的なマリガンに耐えられるようにデッキリストを変更し、対戦相手が効果的なサイドボーディングを行えないようなサイドボードを構築することです。

「アドグレイス」についての話をするとき、私はいつも《手練》のことを高く評価しています。《手練》は必要なカードをすぐに手札へ加えることが出来るため、このデッキに非常に合致した一枚なのです(1ターン目にプレイした《手練》から《睡蓮の花》を待機するほど素敵なことはありませんよ!)。しかし《手練》を高く評価する最たる理由は、特定のマッチアップにおいてあと一歩の手札を、すぐに最高の状態へと修正できることです。

この例を挙げると:

・「赤黒果敢」に対し、白マナがない以外は素晴らしい手札

・「緑トロン」に対し、《睡蓮の花》がない以外は素晴らしい手札

《手練》は、これら必要とされるパーツへとより早く辿りつくための最高の高滑油です。これはもちろん、4ターン目にコンボを完遂させるためにも重要なことですね。しかし、この大会がデッキリスト公開制だと分かった時点で、今回は《手練》を採用する必要がないということに気が付きました。なぜならば、1ゲーム目から理想的な初手を求めるために、いつも以上に積極的なマリガンを行う余裕が生まれたからです。

デッキリスト公開制での開催は、私に更なるメリットをもたらしました。その象徴ともいえるのが、サイドボードに採用された《終止符のスフィンクス》と《目覚めた猛火、チャンドラ》の存在です。この日、私はどの対戦相手に対してもこれらをプレイすることはありませんでしたが、それでも勝利に向けた大きな手助けとなってくれました。「え、なぜ?」と不思議に思うかもしれませんが、それこそがデッキリスト公開制の肝となります。

対戦相手はサイドボードに採用されたこれらの脅威を見て、否が応にも意識をすることが強要されます。もしかすると、《終止符のスフィンクス》のために《神の怒り》をメインボードに残すかもしれません。もしかすると、《目覚めた猛火、チャンドラ》のために《霊気の疾風》がサイドインされるかもしれません。大会当日、実際にこれらのカードをプレイすることはありませんでしたが、デッキリスト公開制における心理戦が私にアドバンテージをもたらしてくれたのは、間違いない事実であると確信しています。

この大会での私の思考を辿りたい方や、プレイに関する解説を聞きたい方は、こちらからすべてのゲームを見返すことが出来ます。また、「アドグレイス」のストリーミング配信をTwitchで週に数回行っています。水曜日に行っている配信では、いつも「アドグレイス」の最適なプレイングに焦点を当てた勉強会を開催していますよ!

今回お伝えすることは、これで全てとなります。「アドグレイス」が「相棒」を軸としたデッキに対し優秀な捕食者であるという説明、そしてデッキリスト公開制の大会にむけた、より良い構築改善法についての考え方をお楽しみいただけたかと思います。

読んでくれて、どうもありがとう。

-Ryan

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