どもっ、NIMAMEです。
遂にリリースされた『イコリア：巨獣の棲処』。
スポイラー段階から「ゴジラ」とのコラボレーションで注目を集めたセットですが、どうやらこいつはマジックの概念というものを根底から覆してしまうような”とんでもセット”の香りがプンプンしています。
相棒はPWレベルでマジックの歴史を変えてしまったかもしれないな。
— ヤソ (@yaya3_) April 17, 2020
その主たる要因となるのが、こちら。
《新能力：相棒／Companion》
新たに登場したメカニズム「相棒／Companion」により、Magic:the Gathering３.０の幕が切って落とされたのです。
相棒についてまとめたよ
— joh nogami (@joh_nogami_zwei) April 12, 2020
みんなでいいデッキ考えよう！#MTG初心者 pic.twitter.com/BMWTHTkQIn
【概要】
「相棒/Companion」は、『イコリア：巨獣の棲処』で初登場したキーワード能力。デッキ構築に関するルールを変更し、またカードを唱える領域を変更する常在型能力である。
【ルール】
・あなたがクリーチャーを相棒としたい場合、その相棒能力のデッキ構築の制限を守ったうえで、ゲームの外部に相棒となるカードをサイドボード（枠を１枚使用）に用意する。
・ゲーム開始時にデッキが相棒能力の条件を満たしているならば、シャッフルする前にサイドボードから１枚だけ公開して相棒とすることができる（ゲームが始まっても、それは公開されたままである）。
・相棒を公開したなら、それがそこにあり続けているかぎり、それを適正に唱えることができるときならいつでもそれを唱えてもよい。そうしたなら、それはゲーム内に入り、そのゲームであなたが使っている他のカードと同じように振る舞う。たとえば、それが打ち消されたり破壊されたりしたなら、それはあなたの墓地に置かれ、ゲーム内にとどまる。
・相棒が持つ他の能力は、そのクリーチャーが戦場にあるときにのみ適用される。相棒がゲームの外部にある間は効果がない。
参照：M:TG Wiki（一部省略と、加筆あり）
つまり簡単にまとめると、「条件さえ満たしていれば、手札破壊の効かない１枚を初手から確実に保有することが出来る」能力。
端的に言うと構築フォーマット版の「統率者」といったところなのですが、これのなにが不味いのかと言いますと、
”再現性の高さ”
この一言に尽きます。
ネクストゲームの幕開け
本来『Magic:the Gathering』というゲームは、カード１枚１枚の応酬を行い、その過程で生まれる”テンポ”（例えば、５マナのカードを２マナのカードで対処する）であったり、”アドバンテージ”を駆使した１対多の交換を繰り返した末の優劣により決着を図るゲームとなっています。
「アグロ・ミッドレンジ・コントロール」の３つがデッキを分類する大まかな指針となり、各々得意とする戦略を駆使して勝利を目指していくのです。
《各レンジを代表するカードたち》
そして、ここに追加して一つイレギュラーな存在となるのが「コンボデッキ」。ある特定の条件を満たせば、ゲームの展開関係なく勝利を手にすることが出来るデッキのことですね。
近年代表的なものを上げると、『サヒーリ・フェリダー』などがこれに当たります。
ゲームの展開を無視した”理不尽な勝利条件”。
そんな強力過ぎる側面を持っているのに対し、「特定のカードが揃わなければ全くと言っていいほど機能しない」。そんな欠点を抱えているのがコンボデッキの常とするところ。その欠点を補うために各種ドロースペルであったり、《吸血の教示者》を代表とする「サーチカード」というものがデッキに多く採用されるのです。
その中でも強力過ぎる（≒安定性が高すぎる）と判断されたものは、どれも「禁止カード」としての憂き目に。つまりマジックには、コンボデッキの隆盛により環境が歪んでしまうことを極力回避しようという根底があるわけです。
では、この全てを否定するメカニズムが誕生するとどうなってしまうのでしょうか？
「相棒」≒安定性×教示者×抗妨害性
恐ろしいことに、「相棒」はこの全てを兼ね備えたメカニズムとなっています。
ゲーム開始時点から「キーカード」の一つを保持することが出来るのは、実質的に《教示者系カード》を唱えたことと同義。本来は２枚以上の組み合わせを要するカードのうち１枚を確保できているということは、つまり「安定性が格段にUP＝圧倒的再現性の向上」という恐ろしい図式が成立するわけです。
更に驚きなのが、「手札破壊」への耐性。
本来苦手とするはずの戦略も、ゲーム外にカードがあれば関係なし。実質初手が８枚になっているようなものなので、手札破壊に加えマリガンへの耐性もバッチリです。「ロンドンマリガン」と合わせ、ゲームは全く別の物へと変化しているといっても過言ではありませんね。
実際に何が起こっているのか？
Welcome to MTG3.0! pic.twitter.com/8VTVlhSHhO
— Yuya Hosokawa (@yuyan_mtg) April 17, 2020
こちらは細川選手のTweetなのですが、いままでに見たことがないような恐ろしい盤面が構築されています（フォーマットはパイオニア）。
これだけでも十二分にビックリする出来事なのですが、これより下のフォーマットである「レガシー」においては、更なる超常現象が勃発している模様。
《黎明起こし、ザーダ》”Vs.”《深海の破滅、ジャイルーダ》
レガシーを全くの別ゲームに変えてしまったのが、この2枚。
”圧倒的安定感”のある無限コンボを搭載した『ザーダwithボンバーマン』Vs.“超絶理不尽”の塊・瞬殺コンボを搭載した『コピー・ガイガン～コラガンを添えて～』が、いま環境を荒らしに荒らしまくっております。
すでにルールスとジャイルーダとザーダがレガシーで使われてるのを見かけるので、相棒ってシステムがおかしい説。 pic.twitter.com/6Pakmm2BOn
— wakarock (@wakarock1) April 17, 2020
では、まず《黎明起こし、ザーダ》のサンプルデッキから。
ネクストレベル”Bomberman” by @mei00241
Legacy Challenge Top8 with @xJCloud ‘s Bomberman!(There are some changes)
— mei0024 (@mei00241) April 18, 2020
R1 Infect 2-1
R2 Lurrus Delver 2-1
R3 Hogaak 2-1
R4 Goblin 2-1
R5 Mirror 2-0
R6 Gyruda 2-0
R7 Yorion 1-2
QF BUG Delver
In the end I had an unfortunate loss, but I was right that this deck was broken. pic.twitter.com/zntOvWH6pZ
早速発売週のレガシーチャレンジでTop８に複数名が進出。
《黎明起こし、ザーダ》が相棒として加わり、既存のデッキであった『サルベイジャーコンボ（ボンバーマン）』に圧倒的安定感と爆発力を追加。後述する『ジャイルーダ・デッキ』には1ターンKillの差し合いで勝負するという、ゲームスピードの概念が完全にぶっ壊れた逸品へと仕上がっております。
（＊１ターン目《大いなる創造者、カーン》が相手のマナファクトを停止させることでＧＧ）
初めての対ジャイルーダ、1ターン目カーン×2回で勝ち pic.twitter.com/NtsL846HMs
— mei0024 (@mei00241) April 18, 2020
こちらに関しては現状そこまで非難の声が上がっておらず、本当に大問題となっているのがお次のデッキ。
ジャイルーダチェイン by @sk_bs_ut
使用デッキ pic.twitter.com/bUmI1q1unl
— sora (@sk_bs_ut) April 18, 2020
《深海の破滅、ジャイルーダ》に極限まで寄せる構築を施した、『ターボ・ジャイルーダ』ともいえるデッキです。
このデッキで一番のブン回りとなるのが、《ライオンの瞳のダイアモンド》2枚を介した１ターン目《深海の破滅、ジャイルーダ》の動き。「相棒」というシステムは、本来叶うはずのなかった《ライオンの瞳のダイアモンド》の自由活用という、ルール破壊ともいえる禁断の業を可能としてしまったのです（相棒はゲーム外にいるため、ライオンの瞳のダイアモンドで手札が０になったとしても普通にキャストすることが出来る）。
これにより、ハンドアドバンテージという概念は消失。
はい（勝ちました pic.twitter.com/o1xaIfOZhi
— りぜぷる (@reseple) April 18, 2020
こんな状況からでも、勝利を手にすることが出来るようになりました。
＊《魂の洞窟》を経由すれば、カウンターもすり抜けてキャスト可能。実質無敵！
Nothing to see here, just casual Turn 1. #MTGLegacy pic.twitter.com/hVoA3HFrjj
— Joseph Dyer (@volrathxp) April 18, 2020
《深海の破滅、ジャイルーダ》が大量の《クローン》によって誘発を繰り返すことで、瞬く間に盤面を構築。あっという間のＧＧを演出します。
今後どうなっていくのか？
まさかこの状況がこのまま続いていくとは考えられません。おそらく、何らかの禁止措置が行われるのは間違いないかと思います。
個人的には「相棒」というシステムをカジュアルフォーマットのみ適用にし、トーナメントで使用される構築フォーマットにおいては他のカードと同じような扱いにするといった改正が妥当なのではないかと考えているんですが、果たしてどうなることやら。
出来ることならばお茶を濁すように、今までは正常に働いていた他のカードが犠牲とならないことを心から祈るばかりでございます。
No explanation needed pic.twitter.com/xGZThKypVf
— TogoresMtg (@TogoresTcg) April 19, 2020
またしても《ライオンの瞳のダイアモンド》の危機！
おまけ（ガイガン・パラダイス）
では、最後各フォーマットでの《深海の破滅、ジャイルーダ》暴れっぷりを紹介して終わりにしましょう。
【スタンダード】
今話題のジャイルーダですが、スタンやってない方のためにどんな感じがミラーマッチのイメージ図を用意しました
— HazuhiroNakamura (@HazuhiroNakamur) April 19, 2020
ご精査ください pic.twitter.com/JJWUo0ZA5r
スタンダードでも地獄絵図が繰り広げられている模様。
【パイオニア】
Pioneer League Gyruda Shoot
— Atsushi Ito (@matsugan) April 17, 2020
R1 Mono Black Aggro 🏆❌🏆
R2 UB Twin 🏆🏆
R3 UR Ensoul ❌❌
R4 Bant Spirit 🏆❌🏆
R5 Lotus Storm ❌🏆🏆
ゆうやん@yuyan_mtgインスパイアのジャイルーダ。サイドの難題は最強。オラクルが2枚必要かは不明。あと一瞬だけ特に使い道なかったな。 pic.twitter.com/w69UCibZoC
こちらも地獄絵図。２体並んだスピリットが哀愁を漂わせています。
【モダン】
現状惨劇の図は見当たらず。流石のモダン。
【レガシー】
先攻2killと後攻1killされた
— Hirako Yuki / Challenge TOEIC(6/28) (@hirako_zonepre) April 18, 2020
レガシーはこうでなくては#MTG #Legacy #Gyruda pic.twitter.com/KuwLORpLC8
マジで既存のデッキがいくつか消失しそうです。
ではっ、今回はこの辺で。
Enjoy MAGIC!!!!! （Written by NIMAME）
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COMMENT
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