こちらの記事は、先日訳したFrank Karstenのマナベース分析の続編になります。ヴァンクーヴァーマリガンに変わったのもあり、一部分析と結果が変わっております。また来月ロンドンマリガンになるのですが、方法論と数字はまだ価値があると思いますので、前回の記事と一緒にデッキ構築の参考にしていただければと思います。
【翻訳記事】※ラヴニカのギルド編※安定的に呪文を唱えるには色マナソースがいくら必要か?
しっかりしたマナベースを作ることはデッキ構築の最も重要な側面の1つです。デッキの土地配置を選択するときは、「《タルモゴイフ》を安定的に2ターン目にキャストするには緑マナソースがいくら必要か?」のような質問に答えられなければなりません。
このような質問に答えようとして、私はこちらのよく引用される記事を書きました。あれからすでに4年も経ったので、少しアップデートしたいと思います。推奨数値などはほとんど一緒ですが、計算方法の微調整に伴って少し変更しました。
詳しい方法論を説明する前に、忙しい人のためにすぐ参照可能な結論を最初に載せます。下記の表でコストの昇順に必要な色マナソース数を表しております。「C」は色マナシンボルを指します。
前回の「安定的に唱えられる」定義は?
前回の記事(日本語/英語)では最初に「安定的に唱えられる」ことを定義しました。ランダムネスによって100%の安定性はほぼ実現不可能ということもありました。代わりに、90%の状況で唱えられると十分であると提案しました。
この90%の安定性の定義は、直感と経験によるものだが、仮設などで補強しています。キープ可能なハンドのみをカウントし、一定の数以上の土地を引けていることを前提条件としています。赤黒デッキで山2枚しか引けず、《ゴブリンの鎖回し》が唱えられないのは、《山》と《沼》の比率が間違ったのではなく、単に土地を十分に引けていないだけです。
土地数やマリガンも絡んでいますので、以下の仮定をしました。(今回の記事も継続的に使用)
1.40枚のデッキに土地が17枚含まれ、60枚のデッキに土地が24枚含まれ、99枚のデッキには40枚の土地が含まれる。
2.マナソースは土地のみ。《貴族の教主》や《霊気の薬瓶》は含まれていない。
3.7枚のハンドに土地が0、1、6、7枚の場合、6枚のハンドに0、1、5、6枚の場合、5枚のハンドに0、5枚の場合、マリガンをする。それ以外のハンドはすべてキープ。
これらの仮定に近いデッキに対しては、私のテーブルはまだ有用な経験則として使えるでしょう。
方法論の変更
今回の記事では、定義と方法論を微調整し、分析の実用性を更に強化したいと思います。下記の点で調整しており、シミュレーション・コードにも反映しております。
1.バンクーバマリガンルール
前回の記事以降、マリガン後に占術1ができる、バンクーバマリガンルールが適用されました。これはマナベースの安定性の向上にもつながります。
マリガンした場合、占術で必要な色マナを探すことを仮定とします。例えば、2ターン目に《タルモゴイフ》をキャストできる確率は、緑マナソースのみデッキトップに残し、それ以外(他色の土地と呪文)はボトムに送る想定で計算しています。
2.確率の詳細化
前回の記事では、60枚のデッキで《タルモゴイフ》を90%の確率で2ターン目でキャストするには、13の緑マナソースが最低必要ということを述べましたが、12枚と13枚の差はなんなのかについては触れていないです。83%対90%か?それとも89%対92%か?このような情報は非常に価値が高くインサイトフルなので、今回は合わせて提供します。
3.ハイコスト呪文には高い安定性が必要
すべての呪文に対して90%の安定さを求めるのが若干荒いです。今までの経験からすると、安い呪文に対しては適切だが、ハイコストの呪文にはより高い安定性が必要ではないかと思います。
1ターン目の1マナ呪文だと、正しいアンタップマナが出せずキャストできなくても、大きな問題ではないでしょう。1ターン目でタップランドをプレイするのもありだし、2ターン目のドローで正しいマナを引く可能性もあるでしょう。そして、別に3、4ターン目にプレイしても遅すぎることはないでしょう。いずれにしても、大きな問題はなく、最高レベルの安定性は必要としていません。
しかし、高いマナコストの呪文の場合、引いた土地が間違ってキャストできないことは、ゲームに対する影響がかなり大きいです。《黎明をもたらす者ライラ》が手札にあって、4枚の《森》と1枚の《平地》しかなく、キャストできない状況を想像してみてください。5マナのターンが完全に無駄になるし、それがゲームの敗北にもつながるでしょう。同じく、5ターン目に《浄化の輝き》をキャストできないのも、ゲームの勝敗を左右します。
従いまして、ハイコスト呪文が必要とする安定性を引き上げました。具体的な基準として、1マナカードが90%の安定性、2マナが91%、3マナが92%のように、6マナカードが95%の安定性を求めることとしています。
4.土地の数をもっと適切に調整
最初の分析では、特定色マナがN個必要なカードに対して、Tターン目までに最低N枚の土地を引いた条件でのN個特定色のマナソースを引ける確率を試算しました。例えば、すべての白マナが2個必要な呪文(《セラの報復者》や《神の怒り》)に対して、Tターン目までに少なくとも土地2枚引いて、かつ2個以上の白マナソースを引く確率で出しております。このTは必ずそのカードの点数で見たマナコストと一致するわけではありません。このような一般的なアプローチで多くなカードに対してガイドラインを出せたのですが、上記条件は《セラの報復者》や《夜明けの宝冠》、《ルーンの光輪》のような普段オンカーブ(点数で見たマナコストのターンにキャストすること)で使わない、かつ無色マナが要らないカードに一番適しています。
よくよく考えると、《セラの報復者》と《神の怒り》を同じロジックで考えるのは若干乱暴でした。《神の怒り》を唱えるには、最低4枚の土地が必要で、そのうち白マナソースが最低2枚なければなりません。4マナカードに対して、4枚土地を引くほうが、2枚の白マナソースを引くことより重要だと思います。マナベースはこれらの呪文をオンカーブでキャストできるように組まれたことが多いため、それを反映できるように定義を修正しました。
つまり、この最新の分析では、N個の色マナが必要でコストがMのカードに対して、ターンMまでに最低M枚の土地を引き、かつ最低N枚の色マナソースを引く確率を考えます(マリガン等も考慮)。呪文をオンカーブで唱えることも考慮した考え方です。《神の怒り》の場合、今の分析では4ターン目までに最低4枚の土地と最低2枚の白マナソースを引く確率を考えます。
《セラの報復者》のようなオフ・カーブ呪文については、前回の記事をご参照ください。
この調整により、今回の分析では、4マナコスト以上の同色の色マナが2つ以上必要な呪文に対して、入れる土地の推奨数値が少なくなりました。例えば、《神の怒り》に対して前回は18枚の白マナソースを推奨したが、今回は16になっております。
60枚デッキの場合
さて、結果を見ましょう。以下の表は、先手の時に、オンカーブで特定マナコストの呪文をキャストできる確率を表しています。マリガン等の前述の条件も考慮しております。
安定的に唱えられる最小限の確率を緑色でハイライトしております。(安定的というのは1マナカードが90%の安定性、2マナが91%などを意味しています。)この記事の最初にご覧になった表がこれらの数字で作ったものです。
40枚デッキの場合
99枚デッキの場合
多色カードの対処は?
多色カードに対しては、そのマナコストを分けて見ており、それぞれの色が必要としたマナソース数を1つ増やしております。下記3つの60枚デッキの例で、このロジックを説明いたします。
協約の魂、イマーラ
最初の表では、1Gや1Wの呪文はそれぞれ13個の色マナソースが必要で、CCの呪文はその色のマナソースが20個必要です。したがって、《協約の魂、イマーラ》に対しては、緑マナソースを14個、白マナソースを14個、そして緑か白が出るマナソースが合計21個以上入れることを推奨します。
ゴルガリの女王、ヴラスカ
最初の表では、3Gや3Bの呪文はそれぞれ10個の色マナソースが必要で、2CCの呪文はその色のマナソースが16個必要です。したがって、《ゴルガリの女王、ヴラスカ》に対しては、緑マナソースを11個、黒マナソースを11個、そして緑か白が出るマナソースが合計17個以上入れることを推奨します。(4枚土地がない状態で唱えることはほぼないので、《暗殺者の戦利品》についても同じマナベースを推奨します。)
パルン、ニヴ=ミゼット
最初の表では、3UUUや3RRRの呪文はそれぞれ16個の色マナソースが必要とされていますので、ここでは17の青マナソースと17の赤マナソースを推奨します。(《ゴルガリの拾売人》に対しても同じようなマナベースを推奨します。)CCCCCCの推奨マナベースは書いていないですが、青と赤のどちらかが出せないマナソースは入れてはいけないことは明らかです。
すべてのマナ必要数を1つずつ引き上げているのは、多色カードをキャストするときは必要な色を同時に出せる状態が必要だからです。例えば、最低1つの白マナソースがある確率が90%で、最低1つの緑マナソースがある確率も同じく90%とする場合、この2つの確率が独立しているため、《協約の魂、イマーラ》をオンカーブでキャストできる確率は90% * 90% = 81%になります。
実際にこの2つの確率は完全に独立しているわけではないので、キャストできる確率は81%より若干高いですが、唱えられる確率に影響があることは確実です。それを回避するため、僕の経験則ではその必要数を1つ引き上げることです。ロジックはあまり正確ではないですが、簡単なシミュレーションに基づいています。2色ランドが8枚以上入れるデッキの場合、多色カードのマナ必要数を1つ引き上げることで、概ね望ましい安定性が観測できたのです。
最後に要注意なのは、これらの調整は2色ともにマナベースの安定性に対して影響がある場合のみ適用されます。赤単デッキにに《裁きの一撃》のために白をタッチするときは、それを1Wの呪文と見なして問題ないでしょう。同じく、18の青マナソースのあるデッキに《ドミナリアの英雄、テフェリー》をタッチするときも、4Wのカードをタッチするのとほぼ同じでしょう。
その他珍しいマナコストのカードはどう対処するか?
召集や探査を持つ呪文に対して、それをキャストしたい時に土地が何枚あるか想定する必要があります。その土地数でマナソースの必要数を参照します。
召集に関しては、クリーチャーがいくらあるかや、相手がどれくらい除去を持っているのか等の条件に依存しており、探査は墓地をどれくらい早く埋められるかに依存していますが、一例として、《グルマグのアンコウ》はよく1Bの呪文としてキャストするが多く、《大集団の行進》は白クリーチャーがたくさんあるデッキでは3GWの呪文と見なすことができるでしょう。
混成マナスペルに関しては、両方の合計値を見る必要があります。例えば、4湿った墓、5島、4沼のマナベースは、《発見+発散》を2ターン目でキャストできるマナソースは13あって、ちょうどいいです。
フェッチランドはどう見れば良いか?
明らかに、平地が白マナソースで、《寺院の庭》は緑と白両方としてカウントされますが、フェッチランドはどうだろう?
私はよく《新緑の地下墓地》や《進化する未開地》などをフェッチ可能な色のフルマナソースとして考えています。これらのフェッチランドはショックランドを持ってくる事ができ、完璧にマナをフィックスできるからです。
2色デッキの場合、《進化する未開地》はフルマナソースと見なすことができるが、3色以上入っているデッキにとってはあんまり頼りにならないです。例えば、《台所の嫌がらせ屋》、《ヴェールのリリアナ》、《紅蓮の達人チャンドラ》、森、沼、山、《進化する未開地》の初手だと、《進化する未開地》より《野蛮な地》のほうがよっぽど良いでしょう。このようなデッキでは、《進化する未開地》を各色の2/3のマナソースとしてカウントしたほうが良いでしょう。概算ですが、概算も時には必要です。
そして《廃墟の地》は半分の色マナソースとしてしかカウントせず、しかも5マナ以上のカードに対してのみ使えます。ゲーム初期に《廃墟の地》を起動する余裕がない状況が多く、かつ相手が基本土地でない土地を持っていない可能性も十分あるということを考慮した概算です。
ちなみにラヴニカのギルドのスタンダードやモダンのマナベースを構築するときは、基本土地を完全に入れないのがあんまりよくないです。相手は廃墟の地を持っている可能性があります。
タップランドはどう見れば良いか?
1ターン目だと、アンタップランドのみがカウントされます。《進化する未開地》や《セレズニアのギルド門》、《陽花弁の木立ち》などの土地では1ターン目に《ラノワールのエルフ》をキャストできません。
2ターン目以降は、すべてのマナソースをカウントします。若干簡素化したのですが、タップランドを入れすぎないかぎり、だいたいマナベースの安定性を反映できます。
さて、適切なタップランド数は何でしょう。オンカーブに呪文をキャストする支障になるので、明らかに入れすぎないようにしなければならないですが、1マナ呪文がたくさん入っているアグロデッキだと、《セレズニアのギルド門》や《進化する未開地》のようなタップランドはなるべく避けたいですね。多くても1枚。
1マナ呪文が少ない、あるいは全くないデッキだと、1ターン目でタップランドをプレイできるので、少し入れても構いませんが、ミッドレンジやコントロールデッキでも、最大で4枚入れることを推奨します。それ以上入れると、複数枚を引く確率が高くなりすぎます。5枚以上入れないと必要なマナソース数が満たせない場合は、デッキ自体を見直すか、土地の枚数を増やしたほうが良いでしょう。要注意なのは、上記のは能力がないタップランドに対する推奨で、《神秘の神殿》や《乱脈な気孔》、《愚蒙の記念像》などのような能力を持つ土地は少し多く入れても構わないでしょう。
《寺院の庭》のようなショックランドは普通タップランドとして見ないですが、ライフを使いすぎるとまずいようなコントロールデッキにとって、8枚のショックランドをプレイするときは、それらを2枚のタップランドが入っていると見なし、タップランドが多すぎないようチェックしたほうが良いでしょう。
チェックランドも時々部分的なタップランドとしてカウントしますが、それはデッキのマナベースにもよります。特に3色以上のデッキに関しては、正しい基本土地タイプを持っている土地の枚数をチェックしたほうがいいです。詳細の確率等はこちらの記事を参照できますが、ここでは簡単なガイドラインを提供します。
- 《平地》、《森》、《寺院の庭》の合計数が16以上のデッキでは、《陽花弁の木立ち》を2ターン目以降のフルアンタップソースとしてカウントしても良い。
- 12枚の正しい基本土地タイプを持つ土地がある場合、《陽花弁の木立ち》を1/8枚のタップランドとしてカウントします。
- 8枚の正しい基本土地タイプを持つ土地がある場合、《陽花弁の木立ち》を1/4枚のタップランドとしてカウントします。
- 4枚の正しい基本土地タイプを持つ土地がある場合、《陽花弁の木立ち》を1/8枚のタップランドとしてカウントします。
ラヴニカのギルドスタンダードにおいて、基本土地タイプを持つショックランドがあるので、チェックランドは2ターン目以降アンタップで場に出るケースがほとんどです。結果的に、それ以外のタップランドを入れすぎなければ、3色デッキでも10-12枚のチェックランドを入れられます。
マナクリやドロースペルはどう見れば良いか?
(最初の仮定と反対に)デッキが土地以外のマナソースも含んでいる場合でも、私の表は同じくガイドラインとして使えるが、これらをフルマナソースとしてカウントしないほうが良いでしょう。
2マナ以上のカードに対して、一般的には除去されやすいマナソース(《ラノワールのエルフ》、《極楽鳥》、《貴族の教主》など)を半分の色マナソースとしてカウントします。「Bolt the bird(《極楽鳥》は《稲妻》で)」というのは90年代前半から言われているので、マナクリーチャーが除去されるのに備えたほうが良いでしょう。
安いドロースペル(1、2マナのキャントリップなど)は、特定の色マナソースがデッキ全体を占めた割合に基づいて考えます。例えば、15枚の《沼》が入った60枚のデッキだと、《大将軍の憤怒》は、少なくとも2マナ以上のカードにとっての1/4の黒マナソースとしてカウントできるでしょう。《沼》10枚しか入れない場合は1/6としてカウントされます。注意しないといけないのが、これらは全部1ターン目から《大将軍の憤怒》を唱えられることが前提です。
これらのドロースペルは、たまにキャストする余裕もなく、更に少なくカウントしたほうが良いという意見もあると思いますが、別のドロースペルを引くことも可能なので、更に多くカウントするのも一理あるでしょう。便宜上に上記の2つの状況は相殺されるとしましょう。
占術や諜報はドローほど効果的ではありません。カードは引けないし、マナソース以外のカードを探さないといけないときもあるでしょう。下記ガイドラインのように占術や諜報をカウントします。
- 16の黒マナソースが入っているデッキで、安い占術1の効果は0.2の黒マナソースとしてカウントされる。
- 8の黒マナソースが入っているデッキで、安い占術1の効果は0.1の黒マナソースとしてカウントされる。
- 16の黒マナソースが入っているデッキで、安い占術2の効果は0.3の黒マナソースとしてカウントされる。
- 8の黒マナソースが入っているデッキで、安い占術2の効果は0.15の黒マナソースとしてカウントされる。
次は、《選択》、《血清の幻視》、《信仰無き物あさり》のようなモダンでの人気呪文を考えましょう。15や16の黒マナソースをデッキに入れており、かつそれらを1ターン目に唱えられるとしましょう。この場合は、《選択》を0.45の黒マナソース、《血清の幻視》を0.55、《信仰無き物あさり》を0.5(フラッシュバックを無視)としてカウントできるでしょう。(2マナ以上の呪文に対してのみ)
《遥か見》、《管区の案内人》、《楽園の贈り物》のような呪文は、緑マナソースが十分でオンカーブでキャストできる場合、持ってこられる色のフルマナソースとしてカウントできるが、それは4マナ以上のカードに対してのみになります。これらの呪文は2ターン目に必要な色を出すことはできませんが、ゲーム終盤で強いカードのタッチを可能にするでしょう。
《開花+華麗》はセレズニアデッキで白と緑のフルマナソースとしてカウントできるが、タップランドでもあり、《セレズニアギルド門》のスペルバージョンのようなものです。前述のように、タップランドは入れすぎないように注意したほうが良いです。
ラヴニカのギルドスタンダードの2色マナベース例
まずはセレズニアデッキのマナベース例を見ましょう。
これは2色をそれぞれ16枚均等に入れているマナベースです。このようなマナベースでは、《無効皮のフェロックス》と《暴君への敵対者、アジャニ》を同時にデッキに入れることができます。《協約の魂、イマーラ》もちゃんと入り、《議事会の騎兵》もギリギリキャストできますが、いくつか制限があります。
上記のマナベースは《ベナリア史》や《打ち壊すブロントドン》にとって十分ではありません。これらの3マナで同じ色のシンボルが2個ある呪文を安定的に唱えるには、18個の色マナソースが必要です。16を18に増やすには、基本土地を《セレズニアのギルド門》や《開花+華麗》に変えたり、土地の枚数を増やしたり、《ラノワールのエルフ》や《冒険の衝動》に頼ったりすることができます。16のままで若干低い安定性で満足するのも良いが、若干欲張りではあると思います。
このマナベースでは《生皮収集家》や《軍団の上陸》も安定的にキャストできません。1マナ呪文を1ターン目に安定的に唱えるには、14のアンタップ色マナソースが必要です。《陽花弁の木立ち》は対象外なので、今は12しか入っていないです。《セレズニアのギルド門》を基本土地の代わりに入れると更に悪くなるでしょう。1マナ呪文にフィットさせるには、チェックランドを全部カットし、4《寺院の庭》、10《平地》、10《森》のマナベースにするのが考えられるが、ゲーム中盤の安定性が損なわれます。
低い安定性をそのまま受け入れるのも1つの手です。1マナ呪文は2ターン目でプレイするのも問題なければ、上記のマナベースのままでも大丈夫でしょう。正直、12枚の色マナソースで1マナ呪文をプレイするのは可能です。最初の表では12枚だと86.3%の確率で1ターン目にキャスト可能です。理想的ではないがそう低くはないでしょう。実はプロツアー優勝デッキの1ターン目に呪文をキャストできる確率は90%を下回っています。結局のところ、常にマナベースの安定性のメリットとデメリットを比較しないといけないので、私の表はあくまでもガイドラインに過ぎないです。
だが、下記にある1色の1マナ呪文に特化したマナベースが個人的におすすめです。
このマナベースでは《ラノワールのエルフ》と《生皮収集家》をプレイできます。《陽花弁の木立ち》以外のアンタップマナソースが14個入っており、緑の1マナ呪文を安定的に唱えられるでしょう。3ターン目だと《陽花弁の木立ち》もカウントされるので、《打ち壊すブロントドン》もちゃんとフィットするでしょう。
《陽花弁の木立ち》を含めると14個の白マナソースがあるため、2ターン目の《協約の魂、イマーラ》や5ターン目の《黎明をもたらす者ライラ》も大丈夫ですが、《軍団の上陸》や《ベナリア史》、《レオニンの戦導者》などはオンカーブで唱えられにくいでしょう。
《鉄葉のチャンピオン》は23の緑マナソースが必要なので、上記のマナベースではまだ足りないです。それをプレイするには、土地数を増やすか、《ラノワールのエルフ》や《冒険の衝動》などの土地以外のマナソースに頼るか、いくつかの《平地》を《手付かずの領土》、《セレズニアのギルド門》、または《森》に変えるか、低い水準の安定性で我慢するか、のような手しかないです。《鉄葉のチャンピオン》をプレイするデッキでは、3ターン前の呪文での他色のタッチはあんまりおすすめできません。例えば、安定的に《鉄葉のチャンピオン》を唱えられるデッキで、11白マナソースで《秋の騎士》をタッチしても良いが、更に欲張るとマナベースを調整したほうが良いでしょう。
同じく、《ゴブリンの鎖回し》のデッキでも、《聖なる鋳造所》4、《断崖の避難所》4、《ボロスのギルド門》1、《平地》1のマナベースで《正義の模範、オレリア》をタッチしてもいいが、更に欲張ると調整が必要です。例えば、《速太刀の擁護者》を更に入れたい場合、《ボロスのギルド門》(アグロデッキのカーブが乱されることになるかも)や《手付かずの領土》(部族じゃないデッキでは望ましくない)、《平地》(3ターン目の《ゴブリンの鎖回し》の安定性が損なわれる)を入れるしかないです。個人的にはそれほどマナベースに負担をかけないほうが好みです。
次に、ディミーアデッキのマナベースの例を見ましょう。
このマナベースでは、1ターン目に《思考繋ぎの幻》と、3ターン目に《血の刺客》を唱えようとしています。
《思考繋ぎの幻》には13のアンタップ青マナソースしかなく、《血の刺客》には 17の黒マナソースしかありません(《思考消去》3、《万面相、ラザーヴ》3、《発見+発散》2もデッキに入っている想定で、これらを合わせて3つの黒マナソースと見なす)。若干推奨値を下回っていて気になるのですが、土地数を増やさずに改善する方法はありません。 たぶん、《沼》を追加して土地を25まで引き上げて、ゲーム終盤のマナフラッドは諜報カードである程度回避するのが無難でしょう。
クリーチャータイプがもっと重なっているならば、マナフィクサーとして《手付かずの領土》を入れても良いですが、このデッキには合いません。 残念ながら、《思考繋ぎの幻》と《血の刺客》を両方オンカーブでキャストしたい場合、マナベースの不安定性をある程度受け入れなければならないことは、この例でよく理解できるでしょう。
ラヴニカのギルドスタンダードの3色マナベース例
こちらが土地24枚のグリクシスデッキのマナベースの一例です。
このマナベースには10の赤マナソース、18の青マナソース、16の黒マナソースが含まれています。つまり、《ヴラスカの侮辱》と《悪意ある妨害》、《破滅の龍、ニコル・ボーラス》を同じデッキでプレイすることが可能です。土地数を増やせば、もっと厳しいコストのカードもサポートしたり、《進化する未開地》を避けたりすることもできるでしょう。
ショックランドが基本土地タイプを持っているため、チェックランドもちゃんとアンタップでプレイできます。《竜髑髏の山頂》と《硫黄の滝》に基本土地タイプを提供できる土地は12あり、《水没した地下墓地》の場合は14もありますので、チェックランド全体を1~2のタップランドと見なします。2枚の《進化する未開地》と合わせて3~4枚のタップランドがあって若干多いですが、ミッドレンジデッキなので大丈夫でしょう。
さて、赤のタッチを白に変えて、つまりボーラスの代わりに《ドミナリアの英雄、テフェリー》をプレイしたい場合はどうでしょう?
このマナベースは上のグリクシスと似たように、10の白マナソース、18の青マナソース、16の黒マナソースがありますが、アゾリウスとオルゾフのショックランドがまだラヴニカのギルドにはないため、ショックランドは一組しか使えられず、《曲がりくねる川》を使わざるを得ないです。これでタップランドの数が増えてしまい、チェックランドもタップ状態で場に出るケースが多くなるでしょう。結局このマナベースのタップランドが7枚もあって、あまりにも高すぎます。
現実的に、エスパーのマナベースは26か27枚土地で構築したほうが良いでしょう。1枚の《曲がりくねる川》をカットし、平地と島を1枚ずつ増やすと、マナソース数を維持したままタップランドの数を減らすことができます。また、安いドロースペルもある程度色マナソースと見なすことができるので、それらを入れて必要な色を探せるようにしても良いでしょう。
それにしても、ラヴニカのギルドでは特定の色組み合わせが他のものより優れていることは明らかです。2色だと、イゼット、ディミーア、ボロス、セレズニア、ゴルガリしかショックランドを持っていないです。それ以外のギルドがダメというわけではないですが、タップランドを多くプレイするか、色マナの使用を制限するか、《手付かずの領土》に頼るかしかないです。
3色の場合、2組のショックランドがあるのは、グリクシス、ジェスカイ、スルタイ、ナヤ、アブザンしかないです。ラヴニカの献身の発売までの数ヶ月では、これらの色が他より強いかと思います。マナベースの安定性と大会での成績との相関性は高いはずです。
結論
この更新した分析ではちゃんとしたマナベースで必要な色マナソース数に対して、有用なガイドラインを提供できたと思います。記事冒頭の表で簡単に参照もできるので、ぜひ活用してください。
(訳者:DJac)
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